「あまちゃんのふるさとで洞窟セラピーのススメ@久慈市」|小タヌキのウェルネスコラム第7回

あまちゃんのふるさとで洞窟セラピー
同行した学生たちと「氷筍」のある神秘的な空間で癒される

 

じぇじぇじぇ~懐かしい響き!今回は、東日本大震災復興の旗印となり、平成を代表するドラマとなった連続テレビ小説「あまちゃん」のふるさと、岩手県久慈市の取り組みについて紹介しよう。あまちゃんは、最近再放送がはじまり国内はもちろん、アジアをはじめ、海外でも人気のドラマに。聖地巡礼が復活しつつあるという。

舞台となった久慈市は、三陸の海の恵み、日本一の白樺林、琥珀の大地と大自然の宝庫、そして三陸ジオパークを地域資源として有している。その気候と地形を活用して、みちのく潮風トレイルを活用したタラソテラピーウォーク、開運に導く十二支巡りウォーク、森林ヨガ&美肌の湯「べっぴんの湯」入浴、そして日本一の白樺林を巡る森林浴プログラムを開発したのはコロナ禍が訪れる前。しかし、コロナ禍になり、なかなかウェルネスプログラムの浸透にはつながっていないのが実状という。

実はこの4つの磨き上げをお手伝いしてきたのであるが、一つ実現できていないウェルネスプログラムがある。久慈市には内間木洞という総延長6,300mを超える国内有数の鍾乳洞がある。洞内に生息するコウモリなど動物群を含め、岩手県の天然記念物に指定されている。冬期間は逆さつららである氷筍が発生することでも有名。普段は自然保護、環境保全の観点から、残念ながら一般公開されてはいない。

この鍾乳洞を特別にご案内いただいたことがある。ヨーロッパでは洞窟セラピーは人気のセラピープログラム。塩分を含む洞窟の中で、塩エアロゾルをカラダで吸収していくことで、カラダを整えていくことのできる療法でもある。ちなみに国内ではまだまだ洞窟セラピーは浸透していないが、島根県太田市では世界文化遺産「石見銀山」で「坑道療法」に取り組んでいる。残念ながら、まだ体験したことはないのだが。

久慈市の内間木洞窟体験はこんな体験だった。洞窟に入っていくと外の寒さから暖かさを感じ、しばし下っていくと空気がひんやりと変化していく、その温度差がなんともここちよい。これが気候療法というものだと実感!お休みになっているコウモリに出会い、そして、悠久の時間を越えて、様々なカタチに成長している鍾乳洞のスケールの大きさに感嘆する。少しかがみながら、懐中電灯をつけながら狭く薄暗い道をしばし歩いていくと開けた空間が。インストラクターが「はい、座って。電灯を消してください」。全部の灯りが消えるとそこには真っ暗闇が出現する。
鍾乳洞を流れる風、雫の落ちる音、地下水の流れる音…。静寂の世界に五感が研ぎ澄まされていく実感。そしてふわふわと浮遊している感じを覚えていく。おそらく生命をいただき、母親のカラダの中で暗闇の中で過ごしていた時を思い起こしているのかもしれない。なんとも神秘的な空間、そしてリラックスできる時間が流れる。洞窟の価値を改めて見直す機会になる。

こんな貴重な空間だからこそ、その維持・保全には行政も慎重なのである。サステナブルツーリズムではないが、自然と人のかかわり方をしっかり議論し、地域の担い手がこの資源を地域の価値として保全するルールを定め、参加する側も納得することができれば、このプログラムは人間はもとより地球と共存していくことを伝えていくフロントランナー的なプログラムとして価値を高めていくのだと思う。そして、地域を、人をあの「あまちゃん」のように元気にしてくれる、ココロとカラダが和らぐ、そんなプログラムになっていくのだと思う。現在は教育旅行では入ることができるが、一般にも年に数回、洞窟に入ることができるようである。ちょっとした洞窟セラピーにはなるはずである。東北初の鍾乳洞プログラムがもう少し数多く体験できる日がやってくることを、奥津軽の地から祈っている。

 

夏を超えた、小さな「逆さつらら」に出会うこともできる
夏を超えた、小さな「逆さつらら」に出会うこともできる

2023.5.15

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