「ドイツのクアハウスの魅力」|小タヌキのウェルネスコラム第9回
フライブルクにあるテルメ「KEIDEL」
うだるような暑さの続く7月。時にボーっとして、私の脳と筋肉が解け始めているのではないかとやきもきしている。脂肪が解けてくれるとよいのだが…
そう、コロナ禍がやってくる2年前のこの時期に、冷涼なドイツにヘルスツーリズムの視察で日本を抜け出したことがある。日本でもヘルスツーリズムで地方創生に取り組む地域に「クアハウス」なるものができているが、実は、その「クアハウス」の原点はドイツにある。今回は「クアハウス」について紹介しよう。クア=療養、ハウス=施設である、ドイツの温泉療養施設である。
私が訪れた都市は、ドイツの南西部バーデン=ヴュルテンベルク州にあるフライブルグ。街並みが美しく文化都市としても名高い。そこにホテル・病院を併設するテルメ「KEIDEL」がある。市街地から田園地帯を通り抜け、森の中を行くとその施設が現れる。リクライニングチェアが屋内外にズラリと並び、森林浴を楽しむ散策コースもある。館内には、ギャラリーもあり、ここちよく、ホッとしたひとときも過ごすことができる。
温泉・サウナを楽しむことはもちろん、ドイツのナショナルチームを支える医師による運動療法がおこなわれ、アクアスポーツプログラム、スパトリートメントなどが時間刻みで行われている。ココロとカラダをトトノエル、そんな魅力的なプログラムがラインナップされていた。
少し前までは、高齢者向けの温浴施設だったが、そこにドイツの最年少クアディレクターとして迎え入れられたハインツさんという男前が表れて、バサッとテコ入れをした。ファミリー、若者もリゾート気分で上質な時間が過ごせる施設に進化したのだ。新設したスポーツバーでは、ビールを片手にサッカーに熱狂するサポーターも。現代アート展示も行われている。今までのクアハウスにはない楽しみ方が揃い踏み。
ドイツはもとよりフランスからもお客様は訪れ、年間50万人以上が訪れているという。「健康になる!」を前面に押し出さずに、情緒に訴え、本気で楽しんでもらうことで、結果、健康になる施設を訴求するコトで集客を上げ、従業員も250名を超え、ドイツ流地方創生の旗印といえる施設に生まれ変わったのだ。
結局、私も温泉にサウナと、半日近くのんびりと過ごしたが、あっという間に時間が流れる、そんなここちよい空間であった。
実は、我がDAZAI健康トレイルとも提携していたヘルスツーリズムの先進的な温浴施設が奥津軽にあった。タラソテラピーで美容・健康に磨きをかける「し~うらんど」。タラソテラピーとは、海の様々な資源を利用して、身体の機能を高めていく療法。ストレス解消、メタボ・ロコモ予防など、温かい海水を利用したプールで専門スタッフのアドバイスで効果的な運動ができる。そのプログラムラインナップは全国でもトップクラス、若手スタッフの笑顔とともに気分爽快を具現化してくれる施設と私自身も認識していたが、その立地条件の悪さから集客が大きく伸び悩み、残念ながら短命県返上を実現する前に、閉鎖してしまった。時代の先を行き過ぎたのかもしれない。
しかし、そのような温浴施設や健康増進施設は今、各地に続々新設されてきている。
大分県竹田市長湯温泉郷では「笑食歩温」をテーマに「温泉療養保健システム」に取り組み、その核となる温浴施設として「長湯クアパーク」が新設された。コロナ禍前ではあったが、長湯温泉は、日本一とも称される炭酸泉の湯を活かした湯中運動プログラムを提供していると聞いて訪問。しかし、温泉の効能や入り方、歩き方は掲示してあるのだが、楽しく地域住民と来訪客が集い、楽しむという施設にはなっていなかった。オシャレな空間になっているものの、ハード優先で、実はプログラムを指導する地元の若者が集まらない、これが現実とスタッフの方々も苦虫を噛んでいた。これが各地の現実でもある。
最近弘前市にある「星と森のロマントピア」の温泉プールで「アクアノルディックウォーク」をやった。青森県ノルディックウォーク連盟が推奨しているアクティビティである。インストラクターもしっかり揃ってワクワクさせてくれる。
水中ポールを使うプールでの運動は、水の浮力で膝の負担を和らげ、カラダとポールによる抵抗は、動きの速さや組み合わせで参加者の体力に合わせた筋力運動にすることができる。効果的な有酸素運動ができ、ほどよい汗を描くプログラムなので、生活習慣病改善、美容効果にはとっておきのプログラムになっている。
アクアウォークのために開発されたデザインされたポールを使うので、若い世代にもちょっとオシェレなアクティビティとなるはず。もちろん、参加者同志、笑顔が拡がるからうれしい。
こんなメニューがもっと使われていない温泉プールや人が集まらない温浴施設などで行われ、終わってからその地域の美しい景観に包まれながら、地域の食材とバーベキューと生ビール、そんなソフト重視の親しみやすい施設が生まれてきたら、日本のヘルスツーリズムも大きく変わるのだろう。まずはヘルスツーリズムの拠点となる温浴施設にワクワクドキドキするアクティビティプログラムが揃ってほしいと思うのだが。・かなぎ元気村のDAZAI健康トレイルも、そんな温泉や温浴施設と連動したプログラムを考えていきます!
星と森のロマントピアの温泉プールで実施した、トレンドに育てたい
アクアノルディックウォーク
2023.7.13
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