信越自然郷のメソッドが奥津軽アドベンチャーライドに息づく | 小タヌキのウェルネスコラム第19回
新緑の奥津軽の森の中、ファットバイクで青森ひばの神木、十二本ヤスをめざす。深呼吸すると清々しい空気がココロとカラダを浄化してくれる、血液が毛細血管の隅々までいきわたる、そんなエクスペリエンスを創出する五月の奥津軽アドベンチャーライド。
そして、森の滋養たっぷりの根曲がり竹、ワラビ、タラの芽、ヨモギ、ミズなどなど、古民家かなぎ元気村では山菜料理が並び、豊盃純米でカラダに流し込むと、新しい浄化された血液となり、循環し、元気がモリモリになっていく。
このコンテンツを造成する基盤になったアドベンチャートラベルコンテンツがある。前回コラムでも紹介した信越自然郷アクティビティセンターを拠点に実施している「秘密の林道&廃村ツアー」である。ファットバイクやMTBでいく奥津軽アドベンチャーライドは絶対面白い、そして、ココロとカラダをイキイキとさせてくれる!そう確信させてくれたプログラムであった。
長野県はインバウンド客を対象に自然の中でアクティビティを楽しみながら異文化体験するアドベンチャーツーリズムに取り組み、サイクルツーリズムにも積極的。北陸新幹線飯山駅にある信越自然郷アクティビティセンターには60台を超えるレンタサイクルがあり、ここで、前回のコラムでも紹介した「のんびり田舎のかまくらの物語」、「雪チャリSNOW PARK」そして「秘密の林道&廃村ファットバイクツアー」を含めて申し込みすることができるのだ。
新幹線を降りるとすぐ体験プログラムを選び、参加できるからお気軽、便利。そしてコンテンツ内容も「この地域ならでは」がラインナップ。訪日観光客向けのJRフリー切符も追い風となっているのだという。
インバウンド需要も高まっていて、飯山駅の観光インフォメーションセンターは5か国語対応になっている。前回のコラムのように冬場はスキー客だが、グリーンシーズンは、外国人サイクリストも多い。飯山駅~いいやま森の家~野沢温泉までの約40キロのコースは人気である。高低差があるので中級クラスのサイクリストでないと走破は難しいが、サポートカーで救援してくれるため、安心して楽しむことができる。
そして、インバウンドに人気になっているのが、ファットバイクをギアとして使った斑尾高原スキー場からのダウンヒルを楽しむ『秘密の林道&廃村ファットバイクツアー』である。
ローカルナビゲーター(ガイド)の上松正義氏は子供の頃の村の映画撮影に参加した楽しかった記憶を辿りながら仲間たちとともに廃村集落を巡るこのツアーを企画した。ファットバイクの乗り方研修から始まり、ダウンヒルで約15kmの旅路となる。舗装された道から秘密の林道へ。極太タイヤとはいえ、ダウンヒルではスピードが出る。木漏れ日の中、風を切って走ると、廃屋が数軒並ぶ前でナビゲーターはバイクをとめる。
「交通の便がよくなったら、働き場所を求め、どんどん市街地に移転するようになりました。やがて廃村にする会議を喧々諤々とするように。そしてこの姿です」。廃村となる前の姿や人々の暮らしぶりを写真で紹介する。まさにファットバイクというタイムマシーンで当時までやってきたという感覚になるのだ。
そこから下ると絶景スポットが目の前に広がる。志賀高原、山ノ内集落が広がる。思い切り深呼吸、そして一休み。その後、渓流沿いを気持ちよく走ると、タイムマシーンは現在に戻ってくる。新幹線の飯山駅がそびえ立つ。光と風を感じながら、ノスタルジックな風景とビビットな今が交差する、3つの廃村、廃校を巡るツアーも無事終了となる。
廃村を見ることで、日本の昔の風景を想像する、昔の農村の解説とそこに向かう自然の豊かさ。そして、ここちよい汗と達成感、それがインバウンドでも受けているようだ。もちろん、英語対応もされている。自然・歴史・文化を感じさせてくれる旅に自転車というモビリティの可能性を広げ、最近インバウンドで人気の高まっている林道グラベルライドとなっている。インバウンドのニーズにも対応したアドベンチャーツアーが具現化されている。
このアドベンチャーライドのメソッドが、奥津軽トレイルの道にも息づいているのだ。
タイムマシーンに乗って木漏れ陽を楽しむ
渓流のマイナスイオンもここちよい
ロードバイクのコースも充実 飯山駅~森の家~野沢温泉
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