一般社団法人 かなぎ元気村 メールマガジン5月号

津軽の農家では昔から田植えのことを単に「五月」と呼んでいて、もちろん今の若い人にすれば田植えは田植えなのでしょうが、言葉を何かと簡素化してしまう津軽衆らしい季節感を込めた直球勝負だなと思います。
さて、今年の五月は桜花爛漫ではなく、青葉若葉からスタートしましたが、リンゴの花も早く咲き過ぎて、花の受粉に欠かせない「マメコバチ」の活動サイクルが合わなくなってしまい、リンゴの収穫量が懸念されると報道されていました。もう一方で、青森県の水産業の主役である「ホタテ養殖」も昨年の高水温による大量斃死で稚貝確保が難しくなり、今年も生産量は期待できないようです。リンゴもホタテも青森県の基幹産業なので気候変動がとても気になりますね。
そういえば、先日のオーロラ騒ぎも一つの異変なのですが、皆様のところではどうでしたでしょうか。私は気も漫ろ(そぞろ)になってしまい、夕方になると見晴らしの良い場所で夕焼け空や星空を眺めてばかりの一週間でした。多分?見れなかったのですが、素晴らしい夕陽に大満足しました。
実は、幼少の頃、自宅の縁側で父と一緒に本物のオーロラを見ているんです。記録に残っている本物の低緯度オーロラで、あの時、北の空は火事のように赤やオレンジ色に輝いていました。まだ4歳だったはずですが、不思議なことにあの夜の空の色を鮮明に覚えています。夢かもしれないけれど、極地に近い場所でカーテンのように広がるオーロラを見てみたいですね。

一般社団法人かなぎ元気村では、みなさんのそばにいつも『かなぎ元気村』ということでメルマガを配信しています。
今月も奥津軽の小タヌキのコラムやクマのぼやきをお楽しみください。

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【目次】
1.QOL検診の重要性
2.下北半島佐井村「福浦の歌舞伎」
3.山の幸子さんらの行状記
4.シリーズ「記憶の断片」その2
5.ウェルネスコラム「信越自然郷のメソッドが奥津軽アドベンチャーライドに息づく」
6.あとがき
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1.QOL検診の重要性

何かの折に「QOL」という文字を目にしたことがあると思いますが、それは「クオリティ オブ ライフ」の略語で、人生の質とか、生活の質などの意味です。
QOLの概念は歴史的にソクラテスの「何よりも大切にすべきは、ただ生きることでなく、よく生きることである」といった哲学的追及までさかのぼるそうですが、健康・長寿命という部分で厚生労働省による都道府県別生命表が公開されるようになってから、我が青森県は男女ともに短命県ナンバーワンが続いたままです。
この汚名を返上すべく、かなり前から弘前大学をトップリーダーとして県や自治体が奮闘努力を続けているものの、如何せん県民個人の意識改革が立ち遅れている状況がそのまま汚名継続につながっているようです。先ずはこの根本的なところから改善しましょうということで、弘前大学が開発した「QOL検診」(啓発型検診)の人気が高まっています。
この検診の内容は、身長、体重、野菜摂取量、体組成、骨密度、運動不足度合いなどを測定し、現状データを示して本人に「気付き」と「行動変容」を促そうというもので、言い方を変えれば、最初に全く否定できぬ結果を示されて「打ちひしがれ」、そしてそこから立ち上がるドラマチックさが健康寿命の延伸につながるわけです。ジョッパリで屁理屈を並べる青森県民にはこれぐらいの脅しが必要でしょう(笑)
かなぎ元気村が主宰している「DAZAI健康トレイル」は、弘前大学の監修によるプログラム構成でQOL検診と同等のデータを得られます。ただ、ここから元気村らしさがあり、「健康と自然志向をベースとしたライフスタイルへの転換」という新たな楽しみを加えています。ひたすらストイックに生きたとて人生はつまらないと思いませんか?
私たちと一緒に楽しい野遊びをしてココロもカラダも健康になりましょう。

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2.下北半島佐井村「福浦の歌舞伎」

さる4月10日、明治の中頃から下北半島佐井村の福浦地区に根付いた歌舞伎が実に5年ぶりに一般上演されました。佐井村福浦地区は鉞(まさかり)の形をした下北半島の刃にあたる漁村です。平成31年4月10日(5月1日より令和)の上演の後、コロナ禍で5年にわたり中断されていましたが、この度待望の復活を遂げました。平成の後半より私たちは津軽海峡交流圏として三半島(津軽・下北・渡島)による郷土芸能祭を持ち回りで開催していて、そうした流れで福浦の人達とは深いつながりがあり、この度の復活上演のお知らせを聞いて矢も楯もたまらず駆けつけました。この上演の様子は元気村のSNSにもアップしていますし、SNS環境が無い方でもホームページからご覧いただけます。
さて、この福浦地区、世帯数は40あるかないか、人口も80人いるかいないか、という過疎を絵に描いたような純漁村ですが、何よりも人が良く、地域文化というものに対しての熱量が半端ではありません。つい先日も、私が大好きなNHKのドキュメンタリー番組「Dear にっぽん」で、同じ村の牛滝地区の伝統神楽に挑む少女と集落の人々との心温まる物語が放送されたばかりです。全国どこの地方でも人口減少で担い手が不足し、伝統文化の継承が危ぶまれていますが、こうして悩みをオープンにして地域外との交流を深め、伝統文化の継承に努める姿には感動しています。自分も金木町の住民でありながらも関係人口の一人を自認し、この村がより一層好きになりました。
Dearにっぽん、まだまだ未来は続くと思いたいね。

お昼のお弁当、お食事会などお気軽にお問合せください。
季節の地場産食材で、お客様のニーズにあった料理、お弁当をご提供します。
昼食や夕食の様子は、Facebook「かなぎ元気村かたるべぇ」にも時々アップしています。
元気村ではおすすめの県産銘酒も取り揃えています。

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3.山の幸子さんらの行状記

さてさて、前月の予告通り、山の幸子さん(勝手につけたあだ名です)をリーダーとする一行5人が元気村にやってきました。このご一行はいずれも名うての料理家、ライター、カメラマンたちで、新青森駅でお迎えし、まるで小学生の遠足のノリで蟹田から山越えルートで金木へ向かいました。途中縄文最前期の「大平山元遺跡」に立ち寄り、昨年偶然発見した近くの竹やぶをのぞいてみたところ、まだ早いかなと思っていたネマガリタケノコがいきなりニョキニョキ!!全員にわかに浮足立ち、竹やぶに乱入して大収穫を得ました。ついでにセリ、ミツバ、コゴミ、ミズなど食べられる山菜や野草をいっぱい摘み、料理家たちはあれやこれやと手早く処理し、その夜はさっそく炉端で山菜料理の大饗宴になりました。
そして翌日は嘉瀬観音山と湯の沢地蔵尊一帯でワラビ採りをして、森林鉄道遺構や神木12本ヤスなどを巡り、再びの大饗宴で大いに盛り上がりました。元気村スタッフのお膳料理も気合が入っており、この名うての方々から温かいお褒めの言葉をいただいたのは大きな励みです。
料理家のお二人はやはり奇をてらった料理はせず、山菜の野趣を楽しむことに徹底していました。それにしても、山の恵みだけではなく、元気村に生えているヨモギ、アサツキ、アザミ、イタドリ、柿の葉など、目につくものをことごとく食べたのにはビックリでした。マジで美味かったし、酒の進み具合も半端ではありません。
皆さまには元気村をすっかり気に入っていただき、このメンバーで秋の再会を誓って帰途につきましたが、今こうしてそれぞれの方の活動や著書・写真を見ていますとやはり視点が私たちとは明らかに違っているようです。今朝もNHKのアサイチの料理コーナーに山の幸子さんが出ていましたが、昨年からヤモメ暮らしになった私に、ご自身の新刊書「シニアの一人暮らし、がんばらない食べ方」をプレゼントしてくださいました。もう一人の料理家さんが得意とする薬膳料理や江戸料理にも興味津々で、機会があれば是非食べてみたいと思っています。と言うわけで、今回の山菜採り春シリーズは心底楽しかったです。

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4.シリーズ「記憶の断片」その2

平成15年(2003年)3月、私は中華人民共和国、万里の長城近くの荒れ地で植林作業をしていました。母校五所川原農林高等学校林業科70周年記念事業としてOBらが集まって実施した「中国砂漠緑化植林事業」でした。折しも北京オリンピック(2008年)を5年後に控え、市街地の体裁を整えるために北京はどこもかしこも破壊ラッシュだった印象が強く残っています。庶民が寄り添って暮らす古い胡同(フートン)が破壊されて無残な姿をさらし、周辺には高層ビルが立ち並びつつありました。1989年に国民が民主化を求めた天安門事件以来、中国共産党は専制主義を強化し思想独裁政治を続けているのは言うまでもありません。それはさておき、私たちに対して中国の学者や大学教授が意見交換の場を設けてくださり、中国における環境保護問題や国土乱開発の問題についてありていに話をしてくださいました。こんなことまで話していいのかと、こちらが心配するほどのことです。かいつまんで言えば、この国は近い将来、国民が健康に暮らす環境ではなくなるだろうということでした。この時、既に中国の知識人は経済優先の現状を憂い、未来の地球の行く末を本気で心配していました。国民の若い層は環境保全や自然保護にほとんど関心がなく、そうした思想は封殺されてしまうと嘆いていました。それが今に至るわけです。あの時、荒れ地に植えた木は今どうなっているのでしょうか。気になるところです。
余談ですが、植林地へ向かう途中、人民解放軍の施設の周辺を通りました。その際、現地ガイドから車窓から凝視するな、カメラを向けるなと言われ、そうした行動を見られると日本に帰れなくなるときつく忠告されたのをよく覚えています。ついでに言えば、あの時北京市と中国政府はSARSという極めて致死性が高い感染症の発生をひた隠しにしていて、帰国後しばらく追跡調査されました。SARSといいCoronaといい、秘密主義は世界の迷惑です。

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5.小タヌキのウェルネスコラム第19回
「 信越自然郷のメソッドが奥津軽アドベンチャーライドに息づく 」

(一社)かなぎ元気村の理事木谷敏雄(通称奥津軽の小タヌキ)が「日本各地のウェルネス地域の探訪」を綴ります。この小タヌキは、日本各地のウェルネスツーリズムや最近でいうWell-Beingツーリズムによる観光地域づくりの感動請負人(コーディネーター)として各地を飛び回っていて、そこそこ活躍しているらしい(笑)そんな小タヌキのウェルネス地域探訪にお付き合いください。

※ウェルネスコラムはこちら
https://kanagi-genkimura.org/2024/05/21/wcolms_19/
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6.あとがき

さる5月1日、大相撲春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士の凱旋パレードが金木町と五所川原市内で行われました。いやはや、私はいまだかつて金木町でこれほどの人出を見たことがありません。この人たちは一体どこから湧いてくるのかというほどの凄まじさでした。場所中に負った怪我の具合が気になりますが、一場所全休して十両に落ちたとしても、すぐに幕内に上がってこれるはずです。全国の皆様、これからも応援よろしくお願いします。
もう初夏になりました。田植え時になると寒暖の差が激しく、冷たいヤマセ(北東風)が吹こうものなら体の変調は明かですね。皆様のクオリティ オブ ライフはどうでしょうか。私の場合は石川啄木のようなもので、はたらけど はたらけどなほ わがくらし楽にならざり ぢっと手を見る といったところでしょうかね(笑)
今年も暑くなりそうですから、都会を離れて津軽の野山で過ごしてみませんか。人生は山あり谷ありですが、自然界の山や谷には楽しいことがいっぱいあります。皆様、6月も息災にてお過ごしください。

2024.5.28

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