一般社団法人 かなぎ元気村 メールマガジン7月号

もう7月も後半になり、時折広がる青空と入道雲を見ていると梅雨明けが近いなと感じます。8月に入ると県内各地は一斉に夏まつりモードになり、お隣のつがる市では26日から県内ねぶたの先陣を切って「つがる市ネブタまつり」が開催されます。ネブタと言えば青森・弘前・五所川原・黒石が有名ですが、個人的に旧木造町(現つがる市)のねぶたは好きですね。小さいながらも造りが丁寧で、キリリと引き締まっている気がします。今を時めく青森ねぶたの名人、竹浪比呂央氏はこの町で生まれ育っており、こうした地域DNAが青森ねぶたと言う大舞台で花開いている気がします。また、昨年から五所川原立佞武多のねぶた師として実績を重ねた若手の福士裕朗氏も青森ねぶたのデビューを果たしました。

私は「ノーボーダー」(境界 なし)という言葉が好きで、そうした意味で地域のお祭りも閉塞感を打破して変わらざるを得ないのかなと、良い意味で期待しています。

一般社団法人かなぎ元気村では、みなさんのそばにいつも『かなぎ元気村』ということでメルマガを配信しています。今月も奥津軽の小タヌキのコラムやクマのぼやきをお楽しみください。

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【目次】
1.7月は異界との交差点
2.シリーズ「記憶の断片」その4
3.ウェルネスコラム「天草雑節ミネストローネと潜伏キリシタン巡礼の道でWell-being」
4.あとがき

 

1. 7月は異界との交差点

いきなり怖いタイトルで始りましたが、古くから恐山と並ぶ霊場とされる金木の川倉賽の河原地蔵尊例大祭が毎年旧暦の6月23日を中心に3日間で開催されます。
今年は7月27日〜29日の開催で、昔から人々がお堂や境内に納めている地蔵様に新しい着物を着せたり、お札を書いてもらって読経供養をしたり、ほぼ昔ながらの光景が今も続いています。以前、沖縄の人を川倉地蔵尊に連れて行って津軽衆の死生観や精神世界について説明したことがありますが、琉球とはあまりにも違うので全く理解できないと言われました。自分が少年の頃は大祭や彼岸の度に必ず祖母が団子を作り、お供をしてお参りをしたので昔の光景をよく覚えていて、本堂の裏には「イタコマチ」という簡易テントが並ぶ場所があり、たくさんのイタコが口寄せをしていました。こうしてイタコという霊媒者を通して亡くなった人と会話をし、涙する様子が記憶に刻まれています。

余計な話ですが、昔、賽の河原例大祭の期間中は男女の出会いの日でもあったらしく、若い独身男女、やもめの男女が、死者の供養とは別の、現世におけるおおらかな時間を楽しむことが黙認されていたようです。こうしたことは太宰治の作品の中にも少年期の記憶として書かれており、まぁ、これもまた古今東西を問わずよくある話でしょう。
小沢昭一的ココロに従って野暮な話はやめときます(笑)

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2.シリーズ「記憶の断片」その4

2016年4月7日、私は韓国ソウル市江南区の名刹「報恩寺」で韓国の伝統国学団と津軽三味線+和太鼓のコンサートに臨んでいました。ツアーメンバーは、私が自信をもって推挙した津軽三味線奏者と和太鼓の女性奏者、ディレクターとして現場を調整した音楽事務所の社員、舞台挨拶の私を含む4人です。報恩寺は大韓仏教曹渓宗という禅宗のお寺で、たまたま仏教における何かの期間中でもあったらしく、超巨大な御堂に聴衆が入りきらず外にまであふれていて驚きました。おそらく千人に及ぶ聴衆だったのは間違いありません。
こんなにたくさんの観客を前にした異国での舞台挨拶はさすがに緊張しました。現地で紹介された通訳は在日の女性で、ほんの1時間ほど前に現れて打合せしたその場しのぎのようなものでした。当時、日本海竹島の領有権で日韓関係がぎくしゃくし始めた頃であり、特に津軽三味線の歴史には今でいう差別的な言い回しもあって、言葉の配慮を欠くことで国民感情を刺激することになるまいかと心配しながら挨拶原稿を通訳に手渡しました。
さて、韓国時代劇などに見られる大衆音楽は、太鼓などの鳴り物でテンポよく人々が乱舞するという印象が強いのですが、伝統の国楽となると全く違う厳かさで、踊りもまたゆったりと気品に溢れています。こうした両方の持ち味をどう組み合わせるか、前日夜にメンバーの自己紹介と軽いリハーサルはしたものの、本番はほぼ一発勝負です。私の韓国語といえばアンニョンハセヨとカムサハムニダしか知らないので、後は笑ってごまかすしかありません。でも、案ずるより産むが易しで、舞台挨拶は大きな拍手をいただき、津軽三味線と和太鼓の多彩な音色と躍動感は聴衆を魅了し、コンサートは大変な盛り上がりでした。最後は国楽団とアリランのセッションでスタンディングオベーションが沸き起こり、大感激のフィナーレでした。
これまた余計な話ですが、韓国の男性は髭を生やしている人が極端に少く、これは民族的な体毛の濃度が原因らしいです。スーツを着て口髭と顎鬚を蓄えたクマみたいな私の風貌が妙齢のご婦人方にウケたらしく、フィナーレの後にご婦人方が寄ってきて代わる代わる携帯でツーショット写真を撮られました。中には腕をからませた濃密なショットもあり、もしや、オモニたちは私ごとき者を何かの大物と勘違いしてるのではあるまいかと、意味が分からないまま気恥ずかしいやら、都合悪いやらで、ただ笑ってごまかしている自分が妙に滑稽だったという、そんなくだらない記憶の断片でした。それにしても、報恩寺でいただいた韓国の精進料理は美味しかったです。

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3. ウェルネスコラム「天草雑節ミネストローネと潜伏キリシタン巡礼の道でWell-being」

(一社)かなぎ元気村の理事木谷敏雄(通称奥津軽の小タヌキ)が「日本各地のウェルネス地域の探訪」を綴ります。この小タヌキは、日本各地のウェルネスツーリズムや最近でいうWell-Beingツーリズムによる観光地域づくりの感動請負人(コーディネーター)として各地を飛び回っていて、そこそこ活躍しているらしい(笑)そんな小タヌキのウェルネス地域探訪にお付き合いください。

※ウェルネスコラムはこちら

天草雑節ミネストローネと潜伏キリシタン巡礼の道でWell-being| 小タヌキのウェルネスコラム第21回


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4.あとがき

このところNHKの朝ドラがヒット続きで、毎朝楽しみにしています。そしてさらに土曜日は朝から「プロジェクトX挑戦者たち」の再放送と、夜の新プロジェクトXに泣かされています。日本人の技術力や信念の回復にはこの番組が最適だなと、知力が足らず、技術力もない私は心からそう思うわけです。中島みゆきの主題歌「地上の星」とエンディングの「ヘッドライト・テールライト」は歌詞もメロディもプロジェクトXそのもので、よくこんな曲が作れるもんだなと感心するしかありません。

とかく、人は空ばかり見ていますが、地上に降りた星を見つけましよう。誰も覚えてないじゃつまらない世の中になりますよ。元気村のスタッフは全員それぞれのキャリアを終えた人たちばかりですが、生涯はまだ先です。今年から急にインバウンド需要が多くなり、様々な体験プログラムのご用命も頂いています。「やればできるね」という実感がわいてきて、この頃はさほど躊躇することもありません。段々面白みがついて来ているといったところでしょうか。

この頃は一向に気温が下がらなくなりましたね、クソ暑いとため息ばかりついていても、あとひと月で秋が来ます。今月末には稲の花が咲き、8月に入ると稲穂が出始めますが、まだ少し体力の貯金が残っているうちに、旧暦の8月1日、ヘッドランプを頼りに岩木山神社から山頂へアタックして朔日山のご来光を拝みたいと思っています。我と思わん方は一緒にどうぞ。
では、8月も息災にお過ごしください。

2024.7.29

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