青春の逸品「シクラメン」を高校生の創る南房総いいものライブ直送便で配信!| 小タヌキのウェルネスコラム第26回
2024年もあっという間に終わろうとしている。師走という言葉を自ら表現するかのように、相変わらず行脚の日々。今年も青森はもちろん、熊本、長崎、三重、群馬の新規、久ぶりの地域も含めてお邪魔させてもらった。
その中でも千葉県は南房総市で2月からはじめた新しい取り組みが今年のエポックであろう。
ちょっとお固く書くと、基幹産業である農業・漁業そして観光を軸として、デジタル技術を活用して、農山漁村の自立及び維持発展に向けた取り組みを農林水産省の中山間地農業ルネッサンス推進事業(元気な地域創出モデル支援)を活用して展開したのである。
全国道の駅グランプリ受賞、そして全国モデル道の駅にもなっている道の駅とみうら枇杷倶楽部と南房総市と連携して、道の駅が運営するECサイト『南房総いいもの市場』の中で、デジタル技術を活用したライブコマース(¬=オンライン上でライブ配信をしながら、モノ・コトを売ること)のしくみで立ち上げた。
ライブコマースという新たな販売チャネルによって、旬ごとの南房総の農産物特産品の持つ物語を情報発信し、ECサイト「南房総いいもの市場」のブランド化を図ろうとしているのだ。
ライブコマースは新たなECサイトとして注目され、中国ではその市場は急激に拡大し、日本でも、化粧品、健康食品、アパレルが取り組みをはじめ、市場が拡大してきている。最近では大手旅行会社も配信を始めている。南房総では、その市場の中で特産品はもちろん、来年からは農業体験も販売しようとしている。
『南房総いものライブ直送便』の配信によって、南房総ならではの農産物特産品を月1回のペースで、イチゴ&スイーツ、ビワ、メロン、お米&落花生、レモン&スイーツ、シクラメン、ミカン、そして切り花をラインナップし、配信してきた。一番売れたのは、南房総を代表する特産品『房州ビワ』であったが、私自身が印象に残った取り組みがシクラメンの配信だ。
『総合的な探求の時間』授業の一環として、南房総のデジタルを活用できる次世代の育成を目的に、南房総市内唯一の高校である安房拓心高校とコラボレーションして、『南房総いいものライブ直送便』の配信を行った。
農業教科を学ぶ園芸系列の生徒たちが、校内の鉢物温室での実習をとおして栽培した冬の花の定番シクラメンを、文理系列の生徒たちが制作した配信で販売していくというプロジェクト。私も高校に通い、高三の6名とミーティングを重ねながら、配信の準備を進めた。SNSが身近なデジタル新世代の生徒たちが、仲間たちの栽培の過程を取材し、その声を聴きながら、配信内容を検討。私が一番お願いしたのが「栽培の物語はきちんと伝えるべきだけど、買ってくれる人が、どこに共感してくれるのか、そこがポイント!」と話し続け、悩み、修正を重ね、いよいよ台本が出来上がり配信へ。
生徒たちが配信で伝える。「今夏は酷暑となりましたが、暑さに弱いシクラメンを育てるために、やさしく、丁寧に育て、今、出荷を目前に、最後の仕上げに汗を流しています。シクラメンは愛や思いやりの象徴、育てた花は、冬の暮らしの中で「くつろぎ」を与えてくれるはず」と。
視聴者数は400名近くと、今まででギネス。売上も上々。
生徒たちは確実に成長したのではと担当の先生が語る。「はじめは、このプロジェクトに関心があるのかわからない表情だったけど、ワークショップを続け、少しずつ変化してきて、配信当日には、すっかり笑顔で、自分たちも楽しみながらやれたと思います」。
生徒たちも「買いたいを喚起する言葉を選び、買いたい人視点で配信していく意味がわかってきました」と。『学び』を配信にしっかりと盛り込んでくれた。
地域内外の視聴者にとって、生徒たちの笑顔が、この地域でのWell-Beingを呼び起こし、次世代の南房総へ期待が高まったたひとときになったに違いない。
自らが配信していくことで、気づきが生まれ、シクラメンに対する愛着も生まれた。それが地域への誇りにもつながっていくのだと私自身も気づかせてもらったプロジェクトであった。この取り組みの横展開を来年はしっかりと考えていきたい。ご興味のある方はこちらから!
https://minamiboso-e-mono-live.net/
シクラメンを栽培する安房拓心高校の生徒たち
青春の逸品「シクラメン」創意工夫をして配信をする
やや緊張気味に配信する生徒たち
配信終了してホッとする
2024.12.26
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