
一般社団法人 かなぎ元気村 メールマガジン6月号
「青田波」とは、田植えが終わって青々と育った稲が風になびいて波打つ様子を指す夏の季語ですが、元気村へ向かう道はまさしくこの通りの光景が広がっていて、毎日見とれていると同時に季節の移り変わりの早さを感じる今日この頃です。
意外というか、驚きというか、米不足と価格の不安定は来年まで続くらしく、消費者の不安はもちろんですが、だからこそ今年は絶対に失敗できないという生産農家のプレッシャーも聞かれます。さらに困ったことに、大部分を主食米にすることで酒米不足が深刻化し、このままだと酒処の青森県でも酒蔵を閉めなければならないところもあるようで、日本酒大好き派としてはとても気がかりですね。
気がかりついでに言えば、私は5月中旬から6月にかけて山へタケノコ採りに出かけますが、今年は全くの不作です。誰に聞いても同じ答えで、場所によっては竹の花が咲いているそうで、私が行く場所でもそれらしき現象を目にしました。竹に花が咲くのは数十年から百年以上の周期とされる極めて珍しい現象であり、単に竹藪が枯れるだけではなく、古くから不吉な予兆であるとされています。身近な場所に熊が頻繁に出没するようになったのも関連がありそうですね。このところの世情や異常な自然現象と重なるだけに妙な不安感が付きまといます。
一般社団法人かなぎ元気村では、みなさんのそばにいつも『かなぎ元気村』ということでメルマガを配信しています。今月も奥津軽の小タヌキのコラムやクマのぼやきをお楽しみください。
==================================
【目次】
1.温泉の楽しみ
2.シリーズ「記憶の断片」その14
3.ウェルネスコラム第32回
「ゴールドラッシュの夢の跡。根羽沢金鉱山遺構を辿るアドベンチャー体験」
4.あとがき
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1.温泉の楽しみ
私は大の温泉好きでヒマがあればあちこちに行っています。青森県人なら車に常備するものの筆頭は手カゴに入れた入浴セットで、特に津軽衆なら当たり前すぎますね。
自宅に風呂はあるものの、お湯を入れるのも掃除も面倒なので、よほどのことがない限り毎日近場の公営銭湯へ行きます。決まった時間などもなく、朝昼晩行きたくなったらためらうことなく行きます。青森県は温泉数全国4位ですし、各市町村に必ずある公営の銭湯は全て温泉ですから恵まれてますね。秘湯と言われる超ローカルなところは県内に数多くあり、隣県の秘湯情報にも開拓心をそそられます。特にひいきという場所はあえて持たず、秘湯らしきところは所かまわずです(笑) ここ最近では八甲田のみちのく深沢温泉と碇ヶ関の古遠部温泉が良かったですね。建物や設備へのこだわりもなく、失礼ながらバラックみたいな感じが好きなんです。誰にもどこへ行くとは言わないし、温泉に行くなら全然たいぎ(津軽弁 面倒とか億劫)ではないので、自分にとっては温泉こそグルメなんですね。また余計な話ですが、大好きな黒石の大川原温泉の真向いにある集落でたった一つのお店には手づくりの漬物や地元の山菜、野菜などがウソみたいな値段で置いてあり、そうしたレアものを買い求めるのも楽しみの一つなんです。温泉探訪は心底楽しいですよ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2.シリーズ「記憶の断片」その15
前にも津軽半島先端部に残る山岳古道「みちのく松陰道」について書いたことがありますが、ここ最近も遊歩道の現況調査をしていて、そこへ行く海岸線を走っているといつも数多くの思い出が脳裏に浮かびます。その中の一つは夏休みのキャンプで、中学3年から高校2年にかけて3回ほど男女キャンプ(10人程度で先生も一緒)をしていました。当時は今の国道339号線もなく、小泊海岸の北端まで行くには森林鉄道の軌道を数時間も歩かなければなりませんでした。森林鉄道が廃止になってからまだ日も浅く、まだレールも撤去されておらず、トロッコも放置されていたので私たちは無断でそれを拝借して荷物を載せ、時々歩き疲れた女子を乗せてトロッコを押し続け、目的地の七つ滝を目指しました。
まるで1986年のアメリカ映画「スタンド・バイ・ミー」そのままの光景です。何を話していたのかなんて全く覚えていませんが、海岸の崖っぷちを竜飛岬方面に向かう細い鉄路と真夏の強い陽射しに光る海の光景はよく覚えています。夕方になると沈む夕日を見ながら焚火でご飯を炊き、沖合のイカ釣り船の漁火を眺め、満天の星空と波打ち際で光る夜光虫を見ていました。2日目の夜に雨が降り、七つ滝の隧道に避難してロウソクの灯りの中での話し声が岩に反響して面白がっていた記憶があります。どうです?健全な青春そのものでしょう(笑)
今の子供達には想像もつかないでしょうし、原始のアナログ生活そのものが否定されてしまうはずです。できるものならバック・トゥ・ザ・フューチャーしてみたいですね。私の自宅の居間の壁には金木の画家、桜庭利弘先生から頂いた一枚の小さな絵が掛けてあります。モチーフは時々自分の記憶に出てくる懐かしい小泊海岸と青空にポッカリ浮かぶ夏雲の風景です。2年前の夏頃、櫻庭先生の娘さんが、伊藤さんなら見ればわかるよとこの絵を届けてくださいました。そう、一目見た瞬間分かったのです。この場所は自分にとって思い出だらけで泣けてきます。
この歳になりますと心象風景なのか原風景なのかわからなくなる時がありますが、居間のドアの真横に掛けていますので、ボケることもない日常風景ってことでしょう(笑)
心から感謝しています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3. ウェルネスコラム第32回
「ゴールドラッシュの夢の跡。根羽沢金鉱山遺構を辿るアドベンチャー体験」
(一社)かなぎ元気村の理事木谷敏雄(通称奥津軽の小タヌキ)が「日本各地のウェルネス地域の探訪」を綴ります。この小タヌキは、日本各地のウェルネスツーリズムや最近でいうWell-Beingツーリズムによる観光地域づくりの感動請負人(コーディネーター)として各地を飛び回っていて、そこそこ活躍しているらしい(笑)そんな小タヌキのウェルネス地域探訪にお付き合いください。
※ウェルネスコラムはこちら
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
4.あとがき
クマはこのところ肉体労働続きのアップアップで、メルマガ6月号は月替わりの瀬戸際になってしまいました。汗かいて温泉入ってビール飲むルーティンを止めればいいのでしょうが、そうなれば命にかかわりますので、このズボラさを笑ってお見逃しください。
ここ数年前から隣町の旧家、宮越家に残るお宝見学が大ブームで、見学したいと思いつつも春と秋の2回、各々一ヶ月だけの一般公開なのでなかなか予約が取れません。
かなぎ元気村ではこの期間、宮越家見学ツアーの昼食予約をいただいており、その日は30人規模のお客様で満員御礼になります。こうした大人数に対応したことが無いので初めはあたふたしていましたが、回を重ねるごとに取り回しも手馴れてきました。余裕は笑顔につながりますので、このところのおもてなしは余裕のよっちゃんです。スタッフはかなり妙齢なのですが、例外なく誉められて伸びるタイプばかりですから、まだ十分伸びしろがありますね(笑) 厨房はいつも和やかですよ。あっという間に一年の半分が過ぎ、明日から7月です。海開き、山開き、七夕と続き、本格的な夏になり、うだるような暑さが続くでしょうが、茅葺屋根の元気村は南北の広い縁側から風が抜けて涼しく、エアコンいらずの体験?が出来ますよ。夏の夜、夜風に漂う蚊取り線香の煙に守られてぐっすり眠れるのは今やかなぎ元気村だけかもしれませんね。
皆様くれぐれも熱中症には気を付けて7月も息災でお過ごしください。
2025.6.30