一般社団法人 かなぎ元気村 メールマガジン10月号
「また一枚 脱ぎ捨てる 旅から旅 」種田山頭火
旅を続けていた山頭火にとって、古くなった服は荷物になります。1枚ずつ脱ぎ捨てていくことで自分自身の未練を断ち切っていくように見える、孤高の人生を表した一句です。
間もなく月暦は残り2枚になります。この歳になりますと人生は旅なのだと悟り、身にまとうものを軽くしたいと誰もが思うことでしょう。メルマガをご覧いただいている皆様もそれなりに妙齢な方々ばかりと拝察しますが、落葉の舞い散る季節になると無意識にため息が出ますね(笑)
このところ里山も紅葉の色合いが濃くなり、津軽平野からは冠雪した岩木山や八甲田連峰がよく見えます。遠いシベリアやカムチャッカから帰ってきた白鳥や雁たちが水辺や田んぼに集っていて、いよいよ冬近しの雰囲気になりました。
つい先日ヘルスツーリズムの取材で久方ぶりに奥津軽トレイルのガイドをしていましたが、山奥には動物の気配が全く感じられず、あらゆる動物が里に下りているのではと思わざるを得ません。熊は金木の住宅近くでも目撃情報が相次ぎ、連日防災無線が注意を呼び掛けています。隣県の人的被害は特に深刻で、この期に及んで野生動物保護の議論をしている余裕などありません。我が家も周りが原野なのでそれなりに注意していますし、皆様も油断禁物ですよ。
一般社団法人かなぎ元気村では、みなさんのそばにいつも『かなぎ元気村』ということでメルマガを配信しています。今月も奥津軽の小タヌキのコラムやクマのぼやきをお楽しみください。
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【目次】
1.徐福伝説
2.シリーズ「記憶の断片」その19
3.ウェルネスコラム第36回
「安達太良ボルケーノトレイルを「ゆったどあさぐ!」(ゆっくり歩く)」
4.あとがき
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1. 徐福伝説
古代中国を統一した秦の始皇帝に仕えた徐福という人物が、東方に長生不老の霊薬があると始皇帝に具申し、皇帝の命を受けて3,000人の童男童女(若い男女)と百工(多くの技術者)を従えて日本に渡来したという伝説が全国各地に残っていて、その代表格が和歌山県から三重県にかけての熊野地方ですが、ここ津軽の旧小泊村もまた徐福伝説の里として名乗りを上げていて、徐福公園や石像まで作られています。
長生不老の霊薬が何なのか、果たしてそれが見つかったのか謎ですが、結局徐福は中国には戻らず平原広沢(広い平野と湿地)を得て王となり秦には戻らなかったそうですから始皇帝を裏切ってまで日本に留まるほどの魅力があったのでしょうね。面白いのは徐福が探し求めた長生不老の霊薬らしきものを各地方の地場産品にして地域おこしをしていていることです。
さて、小泊の秘薬は何なのかというと、「行者ニンニク」(アイヌネギ)なのです。この地域には古くから行者ニンニクが広く自生していて、スタミナ源であることは容易に納得できます。私たちもその季節になるとニラやネギのように肉鍋やモツ鍋に入れたり、そのまま醤油漬けにしたりして早春の楽しみにしているのです。行者ニンニク味噌なんかもお土産で売られていますので機会があればお買い求めください。
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2.シリーズ「記憶の断片」その19
今をさかのぼる47年前、昭和53年(1978)の春、私は五所川原市の岩木川の川原で、あの伝説のコミックバンド、クレージーキャッツのリーダー「ハナ肇」さんから「兄ちゃん忙しいだろうにロケを見に来てくれてありがとな。兄ちゃんはどんな仕事をしてるの」って話しかけられました。
「俺は田舎のプレスリー」という松竹映画のロケ現場での出来事です。この映画はあの山田洋次監督の原作であり、「男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく」との併映作でした。金木が生んだエンターテイナー吉幾三がようやく売れ出した頃のオリジナル曲「俺はぜったい!プレスリー」をベースにしたもので、本作をベースにした映画「俺は田舎のプレスリー」と「俺は上野のプレスリー」が相次いで公開されています。
私はこの時、地元の信用金庫に勤務して2年目のペーペーで頼りない仕事ぶりだったのですが、勤務時間にもかかわらず同じ支店の同僚と示し合わせて上司にもっともらしいテキトーな理由を並べて映画ロケを見に行ってました。もう遥か昔になった時効の話です(笑)
ハナ肇さんは津軽衆特有のほっかむり姿に農民のメークをしてディレクターチェアにどっかりと座っていて、「アッと驚くタメゴロウ!」でしたね。自ら気軽に話しかけてくれた上に握手の手を差し伸べてくれて、この人は何て気さくな人なんだろうと感激してウルウルした思い出があります。あの当時の映画は本当に面白かったですね。そもそもクレージーキャッツは本物の実力を持ったジャズメンたちであり、コミックは大衆娯楽を意識した仮の姿何だったのでしょう。私も信用金庫のエレキバンドに入っていたのでそのことはちゃんと理解していました。この映画の俳優陣は勝野洋、ハナ肇、カルーセル麻紀、嵐寛寿郎
など豪華メンバーで、もちろん吉幾三や伊奈かっぺいも出てました。鞍馬天狗の嵐寛寿郎がどんな役どころだったか今はもう記憶がありませんが、プレスリーシリーズはどっちも見ています。
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3. ウェルネスコラム第36回
「安達太良ボルケーノトレイルを「ゆったどあさぐ!」(ゆっくり歩く)」
(一社)かなぎ元気村の理事木谷敏雄(通称奥津軽の小タヌキ)が「日本各地のウェルネス地域の探訪」を綴ります。この小タヌキは、日本各地のウェルネスツーリズムや最近でいうWell-Beingツーリズムによる観光地域づくりの感動請負人(コーディネーター)として各地を飛び回っていて、そこそこ活躍しているらしい(笑)そんな小タヌキのウェルネス地域探訪にお付き合いください。
※ウェルネスコラムはこちら
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4.あとがき
最近の出来事で最も衝撃的だったのは、ついに政治の大変革が起こり、毅然とした女性首相が誕生したことで多くの国民が日本の未来に期待感を抱き始めたことです。大袈裟かもしれませんが歴史の転換点になりそうな気がします。何事にもスピード感があり、組閣人事も従来なら派閥持ち回りのつまらない顔ぶれだったのですが、どこにこんな人材が隠れていたんだというぐらい若くて有能な方が引き上げられてきたようです。世界を見回せば大国の化けの皮が剥がれていますし、日本が日本でいられるために有能で毅然とした若手に国の未来を委ねる転換期なのかも知れません。ラグビー精神の核心は、「品位、情熱、結束、規律、尊重」です。人はどう生きるのか、One for All、All for Oneでしょうと、先が見えてきた私はそう伝えたいと思っています。
11月は念願だった台湾南部嘉義県の阿里山国家森林遊楽区(国立公園)へ足を踏み入れます。目的は津軽森林鉄道の流れをくむ阿里山森林鉄道と台湾ヒノキの森をトレッキングすることです。この話は帰国後にシリーズでお伝えしたいと思いますのでご期待ください。そろそろ季節性インフルエンザやコロナが流行の兆しを見せています。皆様くれぐれも健康に留意し、11月も息災でお過ごしください。
2025.10.31

