
安達太良ボルケーノトレイルを「ゆったどあさぐ!」(ゆっくり歩く)
紅葉も終わりかけの福島県は岳温泉へ。
猪苗代湖から磐梯山、吾妻連峰、安達太良連峰をつなぐ総延長250kmを超える「磐梯・吾妻・安達太良ボルケーノトレイル」をプロデュースしている安達太良・吾妻自然センターにお邪魔した。そのボルケーノトレイルで話題になってきているのが、3泊4日で磐梯朝日国立公園の3つの火山を巡る70㎞のトレイルコース。そのハイライト部分を今回歩いたのである。
小タヌキが通っている千年続く草原、阿蘇くじゅう国立公園でも、トレイルコースを設定して、磐梯朝日国立公園とともにジャパンボルケーノトレイルを構築しようという動きをしている。奥津軽トレイルをクマさんと進めてきた小タヌキとしては、ワクワク・ドキドキ。そこで、阿蘇の面々と歩いたのである。
今回は、東北のアドベンチャートラベルを推進する ㈱インアウトバウンド仙台・松島の後藤光正さんが案内役を買って出てくれた。「約70㎞を3泊4日で踏破するのは、さすがに技術と体力が入りますね。テントサイトのようなものは特になく、山小屋などの活用によって横断プランを造成しているんですよ」。
これから向かうのは、安達太良山の沼尻元湯・中ノ沢温泉の源泉。安達太良山はピークが1700mあるから、最後は、険しい道を進んでいくことになる。はじめは、ほどよく会話をしながら登山道を登っていく。
「トレイルはやはり経済効果につながるしくみをどう仕上げていくかがポイントですよね」と後藤氏。荷物を次の目的地にもっていくサービス、スタート・ゴール地点と旅館・ホテルを結ぶ交通サービス、そして、山岳アプリを活用してセルフガイドがサポートするしくみも進めているという。
「アプリを見ながらセルフで踏破していく人たちが多くなってきています。だから、トレイルコース内での問題などに対応できるコンシェルジュのような機能が果たせるようにしないといけないですね」。
後藤氏は続ける「線状降雨帯による土砂崩れなどが気候変動の影響で増えてきている。そういう意味では安全を担保できるしくみづくりが本当に重要になってきますね」。
そのようなトレイルのしくみが生まれ、経済効果を高めていくことができれば「保全」に資金が循環され、きちんとマネジメントされたトレイルが生まれ、継続していくのだ。
これは、クマさんと小タヌキが進めてきた奥津軽トレイルでも直面している課題である。次の世代を巻き込みながら、トレイルマネジメント体制づくりのノウハウなどの共有しセルフガイドやトレイルエンジェルのしくみなども検討していく。これは一つのトレイルでは手に負えない時代に、ネットワークづくりが改めて求められていると実感した。
次第に息が上がっていくと、登山道の緑の中から、忽然と現れる源泉から吹き上げる煙、硫黄の香り、そして荒々しい白と黒の世界が現れる。単一の源泉としては日本一の湧出量を誇る沼尻温泉元湯に到着。川に流れだす源泉によって谷にできた広大な湯畑は圧巻の景観。しばし、立ち尽くす。これぞ、トレイルの醍醐味。
「最近では、エクストリーム温泉ツーリズムといって他では体験できない川を掘って温泉に入るツアーもできていますが、単独では危険と隣り合わせなので、必ずガイドを伴ってきてほしいですね」。
現在、阿蘇では、もともと修験道者が山頂へ向かう登山道があり、山上神社から火山口、阿蘇五岳のピーク目指すトレイルコースと阿蘇カルデラの暮らしの中へ降りていく大名らが参勤交代で活用した豊後街道を歩くトレイルコースなどを検討している。
「地域住民が自然とおもてなしをするトレイルコース、トレイルエンジェルがゾクゾクと生まれてくる、そんなトレイルコースを改めて創出していかねばと思いを新たにした「あさぐ」(歩く)旅であった。
いうまでもない、夜、安達太良・吾妻自然センターのある岳温泉のお宿「花かんざし」で「伏流水と日本酒」をテーマに地酒で八杯!がうまい…やっぱこれだな~

お宿「花かんざし」にある安達太良・吾妻自然センター

前日にセンターでオリエンテーション

朝、二本松市には雲海が拡がる。岳温泉からの眺望

安達太良山に向かうと終わりかけの紅葉

清々しく見える滝の風景

登山道の所々から伏流水、苔の緑が清々しい。

川に流れ込む源泉と岩がつくる景観

アドベンチャーセンターとなっているnowhereで安達太良山カレー
2025.10.31


 
             
             
             
             
             
             
             
            