人と自然の共生が生み出した「できたての若い自然」の魅力を実感する五色沼湖沼群

「午後からは、約2時間でボルケーノトレイルの魅力を知っていただき、美しい森が雨を遮り、雨天対策としても活用しているコースを紹介しましょう」。前回コラムで紹介した安達太良山のコースに引き続き、午後から㈱インアウトバウンド仙台・松島の後藤光正さんにご案内していただいた五色沼湖沼群を巡るハイキングコースを歩いた旅をご案内しよう。

 

「午前中のコースは雨天催行が困難になりますが、こちらの五色沼の散策コースは、森が霞み、その幻想的な雰囲気が「あなただけの時間」になることもあるので、こちらを活用しているんです」(後藤氏)。森の本当の魅力を知っている人だからこその言葉だ。
阿蘇ボルケーノトレイル創作隊!は、自分だけの時間探しの散策に出ることになる。

 

今回、紹介する五色沼湖沼群。歩くのは、なんと1970年代の中学生の就学旅行以来。その時の記憶は、若いガイドさんへの興味関心と友達とバレーボール部の次の大会について話すのに夢中で、なんとなく湖水の色がキレイだったことだけを覚えている(笑)。

 

後藤氏に導かれ、はじめにビジターセンターでオリエンテーション。レインジャーの方にインタープリテーションしていただいた。この火山エリア全体の話から湖沼群の話を聞くと、歩くワクワクが創出されていく。

 

磐梯吾妻・猪苗代地域は、磐梯山を中心に30万年ともされる間に噴火を繰り返してきた。実は、五色沼と呼ばれる湖沼群が出現したのは最近のこと。磐梯山が明治21年(1888年)に水蒸気噴火を起こし発生した岩屑なだれが、川の流れを堰き止めたことで形成された。この自然景観は、約一世紀でかたちづくられ、今もなお成長の過程にある「できたての若い自然」という。

 

そして、広大な森林は、火山活動によって荒野となったが、溶岩などに覆われなかったことが大きな要因ではあるものの、10万本以上に及ぶ植林事業に積極的に取り組んだこと、つまり人間との共生によって、四季折々に美しい姿を見せる森林は早期に回復、現在の五色沼周辺は、新たな森林と湖沼群が織りなす自然景観となっているのが特徴なのである。

 

早速、ビジターセンターから拡がる青空の下、阿蘇ボルケーノトレイル創作隊!は探勝路を歩く。
最も大きな毘沙門沼から赤沼、みどろ沼、竜沼、弁天沼、るり沼、青沼、柳沼などの湖沼群を見ながら歩いていく。湖の色がそれぞれ個性を持った色合いで、森の緑と湖水の青のグラデーションが美しい。そして、一つ一つの湖沼を眺めていると、知っているカタカナの緑と青がよぎっていく。エメラルドグリーン、パステルグリーン、コバルトブルー、ターコイズブルー、エメラルドブルーなどなど。なぜか、探勝路、最後の3つの湖沼は綺麗な色合いを見せてくれた。

 

午前中の安達太良山の沼尻元湯・中ノ沢温泉の源泉に向かうコースとは異なり、高低差はほとんどないが、大きな岩や細かい石があったり、木の根があったりで足場を考えながら一歩一歩、頭をフル回転しながら歩く、まさに交感神経と副交感神経を交互に使いながら歩くウェルネスプログラムに自然となっているコースだ。

 

実際に湖沼群の色が異なる要因は、天候や季節、見る角度、水中に含まれる火山性物質などによると言われている。仕事柄、歩く人のその日の状態によって、見える色合いが変わり、今のココロとカラダの状態がわかると面白いなとつぶやきながら歩いていた。

 

磐梯吾妻・猪苗代地域では、磐梯山、吾妻連峰、安達太良山などの火山活動によりかたちづくられた地球の息吹を感じられるダイナミックさとやさしい森の織り成す景観が、人々と共創しながら、作られている。

 

それが五色沼湖沼群の魅力と実感して、急速に膝がガクガクとなる自分に老いを感じながら(笑)、「磐梯・吾妻・安達太良ボルケーノトレイル」での自分時間を満喫した。

 


裏磐梯ビジターセンターでオリエンテーション

 


さまざまな個性を見せる湖沼群

 


グリーンとブルーのグラデーション

 


探勝路を歩くことがウェルネス

 


エメラルドグリーンな湖沼

2025.11.29

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