『焚火が創る縄文ウェルネス!』|小タヌキのウェルネスコラム第2回
パチ、パチ、パチッ、という連続性の焚火のリズムに合わせるかのように炎が揺らめき、シュー、パンッと火の粉が飛ぶという突発性によってココロがリラックスしていく。
かなぎ元気村の庭では、よく焚火を囲んで酒宴を開かれる。炎のように揺れながら津軽弁でいう「ホンジナシ」になっていく。しかし翌朝は不思議と目覚めがいい。
縄文時代はデザインと機能を併せ持った土器が生まれ、直火焼きから煮炊きまでできるようになり、料理にバリエーションが生まれる。粗削りだが、現代に続く料理が食卓に並んでいたに違いない。縄文人は炎を上手に使いこなし、クリエイティブで彩のある暮らしを楽しんでいたと妄想する。
実は、その中心にあった炎こそが大きく縄文人をウェルネスに導いていったのではないか。
縄文はウェルネスだったとする理由の一つは、自然界にある「1/f(エフブンノイチ)のゆらぎ」というメカニズムに常に触れていたから?!
それは、川のせせらぎ、木の葉のざわめき、そして冒頭のような焚火の燃える音や炎の動きなど、予測できそうでできないリズムがココロに安静効果をもたらし、リフレッシュするといわれるメカニズムだ。モーツアルトの楽曲が1/fのゆらぎで進行して、ここちよいと聞いたこともあるかもしれない。
さて、私の生業のテーマのひとつはウェルネスツーリズムによる地域づくり。その土地の風、空気、森、海、水、食材などを活用したプログラム開発により地域の人、そして交流客をウェルネスに導くことで地域を元気にしていこうという取り組み。その仕事の中で、この「1/fのゆらぎ」は現代人をウェルネスに導くためのプログラムに欠かせない。
例えば、阿蘇の「星空ウォッチングと焚火プログラム」では、大草原のナイトウォーキングを楽しみ、その後、ボーっと焚火を囲んで過ごす。そのうち、10分程は目を閉じて語らず。焚火の音・ゆらぎ、かすかに聞こえる大草原のざわめき、そして鹿の声が多くの疲れた人のココロを癒す。これはアンケート結果からも明らか。
何がいいたいかというと…つまり竪穴式住居での炎を中心とした家族の暮らしは、ストレスの生まれにくい、ココロの落ち着いた状態が続いていたといえる。
都会にある甲高いクラクション、工事現場の音やスマホのメール受信音にも惑わされることのない、自然のここちよいリズムの中での暮らし。これを縄文から引継ぐ現代人のDNAが欲して、縄文時代を経験してもいないのに、縄文にあこがれをいだいているのかもしれない。だからこそ、縄文に回帰するリトリートプログラムは現代に必須だと思うのだ。
ウィズコロナ期の今だからこそ、1/fのゆらぎを経験して、ここちよい縄文にタイムスリップできる空間を創り出し、ホッとする、そんな贅沢な時間を提供することが大切なのかもしれない。
2022.11.10
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