「料理研究家瀬尾幸子氏とタイムマシンにのって縄文時代へ」 | 小タヌキのウェルネスコラム第12回

 じーっと食材を見つめる姿。「どうしたらあなたたちを美味しくいただけるかな?」と問いかけ、答えを伺っているような佇まい。とてもこちらからは話かけられない雰囲気、真剣勝負だ!@食祭館中谷(地元スーパー)。料理好きが伝わっている、今や日本を代表する料理研究家瀬尾幸子さんである。本人は、最近は、研究家ではなく料理家とだとお話しているが…

 かなぎ元気村では、奥津軽トレイル、アドベンチャーライド、縄文体験など様々なプログラムを体験できるが、やはり自負しているのは古民家でのゆったりとした時間と奥津軽の暮らしの中にある料理。その提供する料理の基本的な考え方を教えてくれたのが、瀬尾さんなのである。勝手に瀬尾ismと呼んでいる。元気村には、仕事に遊びに何度も足を運んでいただいている。
 瀬尾さんはNHK『あさイチ』『今日の料理』など料理番組でもよく見かけるが、ニッチで独自の笑いをつくっていた『タモリ倶楽部』からのご指名もあった料理家でもある。そしてなんといってもレシピ本大賞を2度受賞しているというレジェンドなのである。第二回受賞の『ラクうまごはんのコツ』が元気村の料理の源流に流れているといっても過言ではない。

 コロナ禍前のこと。かなぎ元気村から食材をお送りして、 瀬尾さんのキッチンスタジオに伺い、贅沢にも瀬尾さんのおつまみで一杯やった時に、「あれっ?!」。なんとスタジオの棚に並んでいたのが、縄文土器と縄文のテーマにした本なのである。
 「私は縄文フリークよ!」と瀬尾さん。「縄文が世界文化遺産になった際には瀬尾さんの考える縄文料理を提供したい!」と私。そんな話で盛り上がり、なんと、それが実現して、10月上旬にかなぎ元気村に足を運んでもらっている。

 いよいよ、縄文料理の試作会@かなぎ元気村の日程も決まり、瀬尾さんのキッチンスタジオへ打ち合わせに…
「石器時代と違って、縄文は、土器で煮炊きができるようになったんだから、その特徴を活かさないとね」。そこから広がる青森縄文レシピ。「クリ、ドングリが主食にもなっていただろうから、鶏肉を黒曜石のような石で叩いたつくねとどんぐりの粉を使った団子汁なんでどう?どんぐり粉は韓国の食材店で売ってるから、それを使い、椎の木のどんぐりは、灰汁が少なく、マテバシイはそのままでも食べられるから、タヌキさん、探してきて(笑)」。
 「マテバシイはどちらかというと温かい地域ですよね?」と私。「縄文時代は青森も温かかったかたマテバシィもあったかも。何しろ、縄文は文字がないから記録にのこっていない、妄想でいきましょう」。チャキチャキっとメニュー出しが進んでいく。メモを取る暇もないくらい…あっという間に6つのメニューが出揃う。もちろん、縄文のように料理する、どの料理方法なのかも瀬尾さんの頭の中ではできているようだ。

 前日。古民家かなぎ元気村到着後、買い物に出かけ、冒頭文のような瀬尾さんの戦いが始まった。そして、いよいよ試食会当日。元気村の厨房は瀬尾ワールドが広がっていく。チャッチャカ、チャッチャカと料理が作られていく。元気村のかっちゃたちもその勢いにボーっと。アシスタントになれていない状態に…
 そして、いよいよ、今回この縄文工務店プロジェクトに参加していただく市役所、DMO、アクティビティ事業者、web制作会社などに来ていただいて試食会。「縄文時代の再現とまでは、いかないものの、その時代を妄想しながら、現代風に多少アレンジしたメニューができあがりました」(瀬尾氏)。

 「もはや香りが縄文!」と縄文の香りを知らない人が声を上げる(笑)といってしまうくらい、縄文の世界観が伝わってくる。そして、瀬尾さんの解説がさらにオーセンティックなシズル感を創出させるのだ。
さて、私の中で、縄文料理で「さすが!」と感嘆した料理が『豚の壺焼き』。穴を掘り、肉を大きな葉で包み、焼いた石を置きながら、重ねていき、土に埋めて蒸していく。出来上がったら手でちぎり、山椒やノビルを添えていただく。南国のバナナの葉っぱでくるんで蒸して肉を食べるような料理が登場する。世界を知る瀬尾さんだからの妄想だ!実際には、葉っぱに包み、穴に埋めて焼き石と同様な効果で蒸していくことができる近代的方法で作っていくのだが…それは内緒。

 みんなで「いただきま~す」。
 縄文時代には調味料は塩しかなかっただろうから、塩と煮出された出汁だけの料理だが、その素材の旨味が調理によって引き出されていて、美味い!タイムマシンに乗って縄文時代に本当に来たような味わいに出会うことできる。縄文時代の食卓のように笑顔だ!
 これから、この料理の磨き上げをしていき、11月の中旬から、かなぎ元気村で食べることができる。料理家瀬尾幸子氏監修の縄文料理。是非、足を運んでみてください。
少しだけ、メニューを見せちゃいましょう!

かなぎ元気村のかっちゃたちと料理をつくる瀬尾幸子氏
上左から『豚の壺焼き』『野草の胡桃和え』中段『鮭の煙炙』『ミズのおひたし』『烏貝の燻』
どんぐりと胡桃の蜂蜜団子
鶏ひき肉の貝焼き
試食会風景

2023.10.20

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