「エシカルスイーツプロダクツで未来志向の道の駅へ」 | 小タヌキのウェルネスコラム第13回
今回は、千葉県南房総市の道の駅「とみうら枇杷倶楽部」で取り組むエシカルプロダクツの取組について書き綴っていこう。
今夏の熱さは異常であり、11月に入っても半袖という気候変動を実感させられた年。ジワジワとというよりは、ドーンとカラダ全体に地球の悲鳴が響いてくる、そんな感覚を覚えた年ともいえる。
SDGsに「つくる責任つかう責任」という目標があるが、このゴール達成のために『エシカル』というキーワードが急浮上している。まだまだ言葉として認知はされていないものの、これから浸透されていくべきキーワードと捉えている。
エシカルとは、「倫理的「道徳的」という意味であるが、最近では「環境保全や社会貢献」という意味合いが強い。人・社会・地域・環境に配慮した消費行動のことをエシカル消費といい、消費者一人ひとりが、日々の消費行動を通じて、自分に何ができるのかを考えて行動すること、これが、エシカル消費の第一歩といわれている。そして作り手側はエシカルな商品を開発、販売し、消費者はそれを選んで購入していくことで市場をつくり、好循環を生んでいくことが求められている。それを道の駅『とみうら枇杷倶楽部』では全国に先駆けエシカルプロダクツを開発・販売、地域そして観光客のみなさまにエシカル消費を推進していこうとしているのだ。
もともと道の駅『とみうら枇杷倶楽部』は特産品である、廃棄される規格外の『枇杷』をシロップ漬けやピューレにして六次産業化を進め、地産地消の商品を生産・販売し、フードロスもなくしてきた全国に知られる道の駅である。つまり、このような枇杷の商品をラインナップしてきた道の駅「とみうら枇杷倶楽部」はエシカル消費を既に促してきた道の駅ともいえる。
そして、『枇杷』に続いて、新たなチャレンジとして取り組もうとしているのが、「酪農発祥の地、南房総」という切り口。今南房総市にある「酪農の里」の一帯は戦国時代に安房の国主、里見氏が軍馬を養成する牧場として利用し、嶺岡牧と呼ばれ、江戸時代に入ると幕府直轄になる。8代将軍の徳川吉宗は1728年、外国産馬を輸入した際にインド産の白牛も3頭輸入し、この地で繁殖を始めた。乳製品は「白牛酪」と呼ばれ、バターのようなものが南房総で生まれ、滋養強壮や解熱用の薬として将軍家に献上されたという。白牛は次第に増え、乳製品も供給量が多くなったことから、18世紀の終わりごろには庶民の口にも入るように。吉宗の輸入した白牛が現代の酪農につながったことから、南房総が酪農発祥の地と呼ばれることになる。
そんな物語を大切に活かしていこうとチャレンジするのが、牛乳、バター、クリームに南房総のフルーツや落花生などを活用した南房総エシカルスイーツ。そして、それを開発していくためにパートナーとして登場するのが、中沢乳業株式会社。、
明治初年、日本の乳業の草創期に現在のJR新橋駅付近で牧場を営み、牛乳の生産をはじめる。その後、幾多の困難を乗り越えながら一貫して生クリームの製造販売に取り組み、発展を遂げる。NAKAZAWA製品は「最高級品」との評価を受け、業務用生クリームのトップブランドとなっている。この企業と道の駅、自治体をつなぐコーディネーター役を私が務めさせていただいている。
その中沢乳業のシェフパティシエになっているのが、クープ・ド・モンドのアンメルメショコラと飴細工部門ファイナリスト2位を受賞した畑田洋志氏。一緒に特産品のフルーツを中心にフードマイルにも配慮し、パッケージもプラゴミになるものを使わないなど、「とみうら枇杷倶楽部」のスイーツ加工を担う若手とともに商品開発を進めてきた。
彼らは言う。「畑田さんからいただいたレシピをいただいて、その通りに作ってもなかなかは畑田さんの作ったものと同レベルにはたどり着かないんです」。そんな簡単には職人技を盗むことはできない。現在は、一緒に畑田氏の背中を見ながら、スイーツづくり研修を実施している。「この研修を受けて、作業効率も上がってきました。おそらく材料の無駄もなくなり、省エネにもつなかっているはず…」(道の駅担当者)。エシカルな行動が道の駅の若手スタッフの中でも浸透しているのを実感している。
来春には今年度の新商品ラインナップもまもなく出揃う。来年度には、新しい加工施設も立ち上がり、南房総のフルーツをはじめとする特産品を活用したエシカルスイーツが話題を呼びことであろう。ちなみに春には地元高校生たちとのエシカルスイーツづくり教室も展開していき、まずは、地域の中で着実にエシカル消費を浸透させていこうとしている。
ちなみに、かなぎ元気村では、無駄にしていた「渋柿」を「ほし柿」に変えて、ドライスイーツの輪を広げていくエシカルな活動をしている。今年も美味しく作れること間違いなし!お楽しみに!
2023.11.24
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