日本遺産「祈りの皇女斎王のみやこ 斎宮」のある明和町探訪|小タヌキのウェルネスコラム第5回
斎宮史跡の復元建物「西脇殿」にて平安の宴を現代風にアレンジして提供
今まで、縄文妄想コラムでは「縄文はウェルネスだ!」ということを書き綴ってきたが、ここからは、もう少し最近の小タヌキの仕事に関連して、ウェルネス&サステナブルな取組をしている日本各地の地域の探訪記を書き綴っていきたいと思う。
はじめは、私も歴史的価値があり、そのフィールドに「いい気」が流れていると感じている地域「三重県明和町」から。現在、ウェルネス&サステナブルツーリズムをテーマに地域づくりに取り組み、その伴走をしている。
明和町は伊勢市、松阪市に隣接するベットタウン。大きな産業がある町ではないが、今でも人口が増えているというまちである。そこになぜ、人が集まるのか?
実は、明和町は三重県の健康寿命ランキングで常にトップクラス。古より、よい気が流れているからこそ、健やかな生活が営まれているのではないか?だからこそ、斎宮を中心とした明和町の暮らしが、今の時代まで続いている背景を知り、そのエピソードを活用すれば地域を元気にするプログラムにつながるはず。それを信念にウェルネス&サステナブルをテーマにしたまちづくりは進んでいる。
そのエピソードは、古事記の時代まで遡る。倭姫命が天照大神の鎮座場所を探し求め、たどり着いたのが明和町大淀海岸と言われ、そこから伊勢へ導いたと伝えられる。そして、この地には、飛鳥時代から南北朝時代まで、およそ660年という長きに亘り、国の安寧と繁栄のため、都を離れ、伊勢神宮の天照大神に仕えた特別な皇族女性『斎王』が暮らした『斎宮』が存在した地なのである。その期間、ト定という占いで選ばれた斎王は慎ましやかであり雅やかな暮らしを営んでいたという。
斎王制度は、南北朝時代以降、戦乱により断絶し、長い間、歴史に埋もれ、言い伝えの中にのみ存在したが、昭和45年の団地造成調査がきっかけとなり、斎宮跡の発掘調査が始まっていく。そして、平成27年に日本遺産「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」として認定された。しかし、まだまだこの斎王のエピソードは表舞台には登場できていないのが実状だ。
斎王制度が最盛期であった平安時代に想いを馳せながら、斎宮エピソードを満喫できるプログラムをラインナップしていこう、それが最初の取り組みだった。
例えば、斎宮で楽しまれた『貝合わせ』『双六』は脳活性プログラムとして。『蹴鞠』は足腰やカラダのバランスを鍛えるプログラムとして。もちろん、その時代の雅な食にも注目し、ヘルシー食としてのアレンジにも挑戦した。
そのラインナップで、オススメが『大淀海岸タラソテラピーウォーク』だ。潮風を浴びながら負荷のかかる砂浜を歩き、筋力アップにつなげる。波打ち際と砂浜を交互歩くことで、温冷を繰り返し、血行を促す。エアロゾール(海塩粒子)をカラダに吸収することで、ミネラルが自律神経を整え、深いリラックスに導かれるなど。そんな効果につながると言われる。このプログラムの目的は、「ココロとカラダを整える」。それを斎王が天皇の代理として伊勢へ参拝する際にカラダを清めた神聖な海岸で実施する。このプログラムはかなぎ元気村の持つDAZAI健康トレイルの神木十二本ヤスコース同様、ヘルスツーリズム認証制度を取得するにも至った。
そして、現在では、E-ファットバイクで大淀海岸の海沿いを走る「禊」のタラソテラピーライドが話題となっている。実は、斎宮がこの地にできたのは、湧き出る「水」が豊富で水質がよいからという説がある。その水のお陰で「御糸米」「藍染の松阪もめん」そして「お酒」といった産業が育っているという背景もある。そういった拠点もE- ファットバイクでつなげながら、タラソテラピーライドは構成されているのである。
実は明和町に暮らす地域住民は、こういった資源の魅力を知らない。だからこそ、それらをウェルネス&サステナブルプログラムを通じて、次の世代に伝えていこうとしている。それをひとつずつ集めて、編集してプログラムにして、それが今の時代には求められるウェルネス&サステナブルな地域づくりの進め方なのである。明和町の地域資源をウェルネス&サステナブルで紡いだ『めいわトトノイメソッド』が今、三重県では注目されつつある。
大淀海岸「禊」タラソテラピーライドでミネラル充填
2023.3.13
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